肝臓とは?

肝臓の解剖

 肝臓はおなかの右上、肋骨の下に収まっている臓器で、体に必要な様々な物質を作り、不要・有害な物質を解毒・排出する臓器です。1.3kg程の臓器ですので、病気でその機能が損なわれても症状が現れにくいことから『沈黙の臓器』と言われております。また、一部摘出しても、元の大きさに戻る『再生能力』が強いことも特徴です。

肝炎

 肝臓に障害をきたした状態を肝障害といいます。原因は下記に示しますが、これらの原因により肝臓に炎症が生じた状態を肝炎といいます。炎症により肝臓の細胞が壊され、肝機能が低下します。肝炎は、急性のもの(急性肝炎)と慢性のもの(慢性肝炎)があります。

急性肝炎
 短期的に肝臓に炎症が起こる疾患で基本的に自然治癒しますが、一部の方(1~2%)は重症化し、劇症肝炎(急性肝不全)と呼ばれる重篤な病態に移行します。原因としてはB型肝炎ウイルス(45%)が最も多く、次いで薬剤(15%)、自己免疫性(10%)と続いております。以下のような症状が現れることがあります。

  • 発熱、喉の痛み、頭痛などの風邪様の症状
  • 食欲不振
  • 全身がだるい
  • 吐き気
  • 腹痛
  • 皮膚や白目が黄色くなる
  • 尿が茶色くなる

慢性肝炎
 肝炎が6月以上持続していると慢性肝炎と診断されます。原因はC型肝炎ウイルスが70〜80%、B型肝炎ウィルスが15〜20%となっておりますが、近年生活習慣病の増加と共に脂肪肝(非アルコール性脂肪肝)が増えつつあります。治療は原因により異なります。
慢性肝炎は肝硬変へ進展し、肝臓がんなどの重篤な状態となる場合がありますので、早期発見・治療が大切です。

ここでは、ウイルス性肝炎と非アルコール性脂肪肝についてご説明します。

C型肝炎

 昔に輸血や血液製剤受けたとき(現在は医療現場で使用されている輸血や血液製剤は厳密な検査が行われているため、感染報告はありません)、刺青を入れたことにより感染します。ワクチンはありません。感染しても重症化しないため自覚症状がない場合もあります。劇症化は稀です。約30%はウイルスが排除されますが、約70%は慢性肝炎に移行するため、肝硬変や肝臓がんに進展する原因の最も大きな要因となっています。

治療

 近年、C型肝炎ウイルスに対する薬は急速に進歩しています。医師の指導のもと正しい治療を選択することで経口薬(直接作動型抗ウイルス薬)によってウイルスを90%以上排除できるようになりました。この新しい薬によりウイルスの完全な排除が治療の目標となります。なお、経口薬を使用しない場合は注射薬(インターフェロン)を用いることもあります。

B型肝炎

 輸血や出産、刺青、性交渉、針刺し事故などにより感染します。1986年にワクチンが導入されたため、若年者の感染は減少しています。出産後、乳児期に感染するとキャリアになり、慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんへと進展する場合があります。成人で感染した場合は急性肝炎となり、一部は劇症化しますが、大部分は治癒します。

治療

 インターフェロンや核酸アナログ製剤によりウイルスの活動を抑え、肝障害を予防します。ですが、現在の治療ではウイルスを完全に排除することは困難なため、肝硬変や肝臓がんに進展させないことが治療の目標となります。

非アルコール性脂肪肝

メタボ

 飲酒をしないにも関わらず、アルコール性肝障害に似た肝臓へ脂肪が蓄積し炎症が起こる病態です。肥満や糖尿病などの生活習慣病に合併する事が高く、治療しない場合は肝硬変や肝がんなど、重い疾患に進展する場合があります。生活習慣病との関連が強いことから、生活習慣を改善することから開始し、肝硬変や肝臓がん等の重い疾患に進展しないよう予防する事が治療となります。生活習慣の改善が不十分な場合は、食事・運動・薬物療法を並行して行います。

肝臓がん

 肝臓の細胞ががん化する「原発性肝がん」と、他の臓器で発生したがんが肝臓に転移した「転移性肝がん」に分類されます。原発性肝がんは慢性肝疾患からの進展が多いため、肝炎の早期の治療や進展抑制が大切です。症状としては肝機能低下による症状が見られるため、肝硬変にみられるような症状が現れます。
 重症度(肝障害度)や原因、腫瘍の個数といった病状に加え、年齢や生活環境によっても治療法は変わります。代表的な方法として、以下の3つがあります。

  • 肝切除:がんを含む肝臓の一部を切り取る手術です。がんの数が一つで肝機能が良好な場合選択されます。
  • ラジオ波焼灼療法:がんに電極を差し、ラジオ波の電流を流してがんを焼く手術です。がんが小さく数が少ない場合選択されます。
  • 肝動注化学塞栓療法:抗がん剤を肝臓の血管に直接流し込み、栓をする手術です。がんが4個以上ある場合に用いられます。

 上記以外にも肝機能や全身状態によって、分子標的薬の内服や肝移植などの治療法を選択する場合もあります。その他様にも治療法がありますので、医師と相談の上で方針を決める必要があります。

医療費助成について

 B型およびC型肝炎ウイルスに対する治療では、治療費が高額になるため公費での医療費助成を受けることができます。自己負担は月額1万円または2万円までに軽減されます。実際の必要書類や提出先等、詳しくはお住まいの地域を管轄されている保健所にお尋ねください。

階層区分自己負担限度額(月額)
世帯の市町村民税(所得割)課税年額が235,000円以上の場合20,000円
世帯の市町村民税(所得割)課税年額が235,000円未満の場合10,000円

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